【プロが解説】層間塞ぎとは?目的や使用材料・施工方法と関連法規

皆さん、こんにちは。

東京都江戸川区を拠点に、関東一円で耐火被覆工事を手掛けている株式会社實川耐工です。


高層ビルやオフィスビルの外壁まわりには、完成後には見えなくなるものの、非常に重要な防火処理が施されています。その一つが「層間塞ぎ」です。


層間塞ぎは、カーテンウォールなどの外壁と床スラブの間にできる隙間をふさぎ、火災時に炎や煙が上階へ抜けるのを防ぐ工事です。


この記事では、層間塞ぎの目的、使用材料、施工方法、関連法規、業者選びの注意点を、耐火被覆工事の専門業者の視点から解説します。




■層間塞ぎ(そうかんふさぎ)とは?基礎知識を解説



「層間塞ぎ」は、防火区画の性能に関わる重要な工事です。ここでは、どの部分をふさぐ工事なのか、基本的な役割と呼び方を知っておきましょう。



・カーテンウォールと床スラブの隙間を埋める工事

「層間塞ぎ」は、建物の外壁と床スラブの間にできる隙間をふさぐ工事です。高層ビルやオフィスビルでは、ガラスやアルミパネルなどのカーテンウォールを外壁として使うことが多く、床スラブの端部との間に数cmから十数cm程度の隙間ができることがあります。


この隙間にロックウールや耐火シーラントなどを施工し、火と煙の通り道をふさぐのが「層間塞ぎ」です。単に穴を埋める工事ではなく、建物の防火区画を成立させるための重要な工程です。



・層間ファイヤーストップ等の別称・呼び方について

「層間塞ぎ」は、「層間ファイヤーストップ」「ペリメーターファイヤーストップ」と呼ばれることもあります。いずれも、床と外壁の取り合い部分から火や煙が広がるのを防ぐための防耐火処理を指します。


「ペリメーター」は建物の外周部を意味する言葉です。外周部にある床スラブ端部の隙間をふさぐため、英語表記ではペリメーターファイヤーストップと呼ばれます。呼び方は違っても、求められる役割は同じです。




■なぜ層間塞ぎが必要なのか?工事の目的と重要性



「層間塞ぎ」の目的は、建物内で発生した火災を一つの階にとどめ、上階への延焼を防ぐことにあります。完成後は天井裏や床スラブまわりに隠れてしまいますが、施工不良があると火災時の被害拡大につながります。防火区画の性能を保つためにも、確実な施工が必要です。



・階をまたぐ火災、煙の延焼を防止する(防耐火)

火災時に危険なのは、炎だけではありません。煙はわずかな隙間からも上昇し、上階へ広がります。火災時に発生する黒い煙は、有毒な一酸化炭素やススなどの有害物質を大量に含んでおり非常に危険です。さらに高層ビルでは、建物内外の温度差や高さによって空気が上昇する「煙突効果(スタックエフェクト)」が起こり、火や煙が一気に上へ回る危険があります。


層間部に隙間が残っていると、そこが煙の通り道になります。火災が発生した階だけでなく、上階の避難にも影響が出るため、層間部を耐火材で確実にふさぐ必要があります。



・遮音性(防音)の確保

「層間塞ぎ」には、防耐火だけでなく遮音の役割もあります。床スラブ端部に隙間があると、上下階の音が伝わってしまうことがあります。オフィスやホテル、医療施設のように室内環境が重視される建物では、音の抜け道を減らす施工も大切です。


ロックウールなどを適切に充填することで、上下階の遮音性能にも寄与します。「層間塞ぎ」は防火のためであることはもちろん、建物の使い心地にも関わる工事です。




■層間塞ぎに関する法規制と要求される性能基準



「層間塞ぎ」は、材料の種類や施工方法によって、防火上の扱いが変わる工事です。基準に合わない納まりで施工してしまうと、検査で指摘を受けたり、仕上げ後にやり直しが発生したりするため、事前に要求性能を押さえておく必要があります。



・国土交通省の技術的助言における要求性能

「層間塞ぎ」が必要になる代表的な箇所が、カーテンウォールと床スラブの取り合い部です。この部分には隙間が生じるため、国土交通省の技術的助言では、延焼のおそれのある部分について1時間の遮熱性と遮炎性が求められています。遮熱性は熱を伝えない性能、遮炎性は炎を通さない性能のことです。つまり「層間塞ぎ」は、材料を詰めるだけでなく、火災時に熱と炎を通さない納まりにする必要があります。



・1.6mm厚の鋼板(鉄板)は必須?最新の基準について

国土交通省の資料では、厚さ1.6mm以上の鋼板の上に、厚さ50mm以上のモルタル、コンクリート、ロックウールなどを施工する納まりが示されています。ただし現在は、性能評価によって1.6mm鋼板を使わずに施工できる材料や工法もあります。鋼板の加工や取り付けが不要になるため、狭い層間部でも施工手順を減らせる点がメリットです。




■層間塞ぎに使用される主な材料



「層間塞ぎ」では、ロックウールを充填し、必要に応じて耐火シーラントやパック材・専用材を組み合わせます。ここでは、それぞれの材料がどの部分で使われ、何に注意して施工するのかを解説します。



・ロックウール(岩綿)と耐火シーラント

「層間塞ぎ」で多く使われるのがロックウールです。ロックウールは、岩石などを高温で溶かして繊維状にした不燃材料で、耐火被覆や断熱材にも使われています。火に強く、隙間に充填できるため、層間部の防火処理に適しています。


耐火シーラントは、ロックウールの表面や外壁との取り合い部に塗布し、炎や煙の抜けを防ぐ材料です。充填厚や圧縮具合、シーラントの塗り厚が不足すると、本来の性能を発揮できません。



・施工性を高めるパック材・専用成形品

最近は、「ソーカンパックALタイプ」や「レイガード」のような「層間塞ぎ」向けの製品も使われています。「ソーカンパックALタイプ」はロックウールを用いた層間ふさぎ材で、1.6mm鋼板と組み合わせて施工します。一方、「レイガード」は1.6mm鋼板を使わずに施工できる床層間ふさぎ材です。


採用できる範囲は、製品ごとの性能評価や仕様によって決まります。対応できる隙間幅、固定方法、必要な施工厚を確認したうえで使うことが重要です。




■層間塞ぎ工事の基本的な施工手順(工法)



「層間塞ぎ」は、隙間幅を測定し、材料を加工・充填したうえで、仕様に沿って耐火シーラントや金具を施工します。完成後には天井や仕上げで見えなくなるため、正しく施工したことを記録に残すことまでが重要です。



1. 層間幅の測定と材料のカット

まず、カーテンウォールと床スラブの間の層間幅を測定します。同じ建物内でも、階や場所によって隙間幅が異なるため、図面寸法だけでなく現場で確認します。

測定した幅に合わせて、ロックウールやパック材をカットします。寸法が小さすぎると隙間が残り、大きすぎると正しく納まりません。



2. ロックウール等の充填・圧縮作業

次に、ロックウールや専用材を層間部へ充填します。表面だけ詰まっていても、奥に空洞が残っていれば火や煙の通り道になってしまいます。

ロックウールは、必要な厚みを保ちながら入れることが重要です。押し込みすぎや充填不足があると、施工不良につながります。



3. 耐火シーラントの塗布と金具等の固定

仕様によっては、充填後に耐火シーラントを塗布します。シーラントは、ロックウールの表面や取り合い部を覆い、煙や炎の抜けを防ぐ材料です。

また、工法によっては落下防止用の金具やホルダーを取り付けます。使用する金具や固定方法は、採用する材料の仕様に合わせます。



4. 【最重要】各工程の写真撮影と施工報告

「層間塞ぎ」は、施工後に天井や仕上げで隠れる部分です。あとから確認しようとしても簡単には見られないため、写真記録が施工品質を示す重要な資料になります。


スーパーゼネコンの現場では、全箇所の写真撮影や施工報告が求められることもあります。施工前、充填後、シーラント塗布後、金具固定後など、各工程を記録しておけば、検査時にも「どの場所に、どの材料を、どのように施工したのか」を説明できます。


見えなくなる部分だからこそ、写真記録まで丁寧に残せるかどうかが、業者の施工管理力として表れます。




■施工不良の危険性と「信頼できる業者選び」のポイント



「層間塞ぎ」は、人命にかかわる防火処理でありながら、完成後には見えなくなる工事です。価格や工期だけで業者を選ぶと、施工記録が十分に残らず、検査や改修時に施工内容を説明できないおそれがあります。



・完成後は見えなくなる「隠蔽部」だからこその怖さ

「層間塞ぎ」は、天井や内装で隠れる隠蔽部の工事です。見た目の仕上がりだけでは、ロックウールが奥まで入っているか、シーラントが必要な厚みで塗られているか、金具が正しく固定されているかは分かりません。


手抜き工事や施工不良があると、火災時にその隙間が炎や煙の通り道になってしまいます。普段は見えない小さな隙間でも、非常時には避難や延焼に関わる重大な弱点になります。



・専門業者を選ぶための3つのチェックポイント

「層間塞ぎ」を依頼する際は、耐火被覆工事や防耐火処理の実績を確認します。層間部は外壁と床スラブの取り合いにあり、内装工事とも工程が重なります。耐火被覆の現場に慣れた業者なら、前後工程を踏まえて施工できるので安心です。


写真記録への対応も欠かせません。隠蔽部の工事では、記録がなければ施工内容を後から確認できません。全箇所の写真撮影や施工報告に対応できる業者であれば、検査時にも施工内容を説明できます。


さらに、鋼板を使う従来工法だけでなく、性能評価を受けた鋼板不要工法やパック材・専用材にも対応できるかを確認しておきましょう。最新の材料や工法に精通している専門業者であれば、改修工事や狭い層間部でも、最適な提案が可能です。




■まとめ:層間塞ぎ・耐火被覆工事のご相談は東京都の「株式会社實川耐工」へ



「層間塞ぎ」は、カーテンウォールと床スラブの隙間をふさぎ、火災時に炎や煙が上階へ広がるのを防ぐための重要な工事です。防火性能を確保するには、材料の選定に加え、施工厚や充填状態、写真記録まで含めた管理が求められます。


「株式会社實川耐工」は、東京都江戸川区を拠点に、関東一円で耐火被覆工事を手掛けています。吹付けロックウール、巻付けタイプの「マキベエ」、鉄骨梁貫通部耐火被覆材「すりーぶたすけ」など、建物の構造や現場条件に応じた工法に対応可能です。


清水建設様など、スーパーゼネコンの大型現場で職長として表彰された実績もあり、品質管理や工程調整を重視した施工を行っています。新築工事はもちろん、テナントの原状回復、スケルトン解体後の耐火被覆補修、改修工事に伴うアスベストの事前調査・対策までご相談いただけます。


「層間塞ぎ」の施工業者を探している方、耐火被覆の仕様確認や改修工事でお困りの方は、「株式会社實川耐工」までお気軽にお問い合わせください。



【関連記事】こちらもよく読まれています

耐火被覆の工法の種類とそれぞれの特徴を解説!

【プロが解説】鉄骨造の耐火被覆・耐火性能の確認方法とは?書類の見方から火災保険の区分まで紹介!

マキベエ施工業者の選び方とは?建物の安全と人命を守るプロの見極め基準を解説!

テナントの原状回復でよくあるトラブルは?対策と耐火被覆とアスベストのリスクを紹介!