皆さん、こんにちは。東京都江戸川区を拠点に、関東一円で耐火被覆工事を手掛けている株式会社實川耐工です。
建物の火災対策では「防火」と「耐火」が混同されがちですが、建築基準法上は役割が異なります。現場では「耐火区画」という言葉も使われるため、違いが分かりにくいこともあるでしょう。
また、火災が起きた際に炎や煙を建物全体へ広げないためには、壁や床、防火設備によって適切に区画することも重要です。
今回は、耐火被覆工事の専門業者である株式会社實川耐工が、防火と耐火の違いから、防火区画の4種類、配管やダクトが区画を貫通する場合の措置まで、現場で押さえておきたいポイントを交えながら解説します。
■「防火」と「耐火」の基本的な違いとは?

防火は主に周囲からの延焼を防ぐ考え方、耐火は火災時にも建物の骨組みなどが必要な性能を維持する考え方です。どちらも火災対策ですが、守る対象と求められる性能には違いがあります。
・防火構造の目的と特徴
建築基準法でいう防火構造は、主に外壁や軒裏に求められる構造です。周囲の建物で通常の火災が発生した際に、外側から火が燃え移るのを防ぐことを目的としています。
住宅密集地など、隣接する建物との距離が近い場所では、外壁や軒裏の防火性能が延焼防止に大きく関わります。
・耐火構造の目的と特徴
耐火構造は、通常の火災が終了するまで、壁や柱、床、梁などの主要構造部が倒壊や延焼を防ぐために必要な性能を持つ構造です。
鉄筋コンクリート造はコンクリート自体が高い耐火性を持ちます。一方、鉄骨造では鉄骨が高温にさらされると強度が低下するため、柱や梁に耐火被覆を施して必要な耐火性能を確保する方法が一般的です。鉄骨造と鉄筋コンクリート造の違いと耐火被覆が必要な理由は、別の記事で詳しく解説しています。
・「防火区画」と「耐火区画」という言葉について
工事現場では「耐火区画」という呼び方をすることがありますが、建築基準法施行令第112条で定められている正式な名称は「防火区画」です。
防火区画を構成する床や壁には、耐火構造や1時間準耐火基準に適合する準耐火構造などが使われます。「耐火」は部材や構造の性能、「防火区画」は火災を一定範囲にとどめる仕組み、と考えると分かりやすいでしょう。建物全体としての準耐火建築物と耐火建築物の違いは、別の記事にまとめています。
■建築基準法における「防火区画」とは?

防火区画は、建物内部を一定の範囲ごとに区切り、火災の拡大を食い止める仕組みです。床や壁だけでなく、防火戸や設備配管の貫通部分まで含めて性能を成立させる必要があります。
・防火区画を設ける目的
建物内で火災が発生すると、炎だけでなく高温の煙やガスも広がります。
防火区画によって火災を一定範囲にとどめることで、別のフロアや隣接する区画への延焼を防ぎ、在館者が避難する時間や消防隊が消火活動を行う時間を確保します。
・建築基準法施行令第112条の規定
防火区画について定めているのが、「建築基準法施行令第112条」です。
必要となる区画の方法は一律ではなく、建物の規模や階数、用途、構造、内装、自動消火設備の有無などによって変わります。既存建物の用途変更や大規模な改修でも、防火区画の確認が必要になるケースがあります。
■防火区画の4つの種類と設置基準

防火区画は、実務上「面積区画」「高層区画」「竪穴区画」「異種用途区画」の4つに分類されます。建物の階数や床面積、用途などによって、必要となる区画や基準が異なります。
1. 面積区画
大規模な建物を一定面積ごとに区切るのが面積区画です。
代表的には1,500㎡以内ごとに区画しますが、建物の構造条件によっては500㎡、1,000㎡以内ごとに区切る必要があります。区画には1時間準耐火基準に適合する床・壁や特定防火設備などが用いられます。
2. 高層階区画(高層区画)
11階以上の高層部では、はしご車による消火・救助を含め、消防隊による活動が特に難しくなるため、10階以下よりも細かな防火区画が求められます。
原則として100㎡以内ごとに区画しますが、内装について一定の防火措置を講じた場合は200㎡、500㎡以内まで緩和される規定があります。2025年11月施行の改正では、従来の不燃材料や準不燃材料による内装に加え、これに準ずる措置(国土交通大臣が告示で定めるもの)も緩和要件として認められています。
3. 竪穴区画
階段、吹き抜け、エレベーターの昇降路など、上下階につながる空間では、火災時に煙や火炎が一気に上階へ伝わる「煙突効果」が生じます。
この縦方向への延焼を防ぐのが竪穴区画です。準耐火構造の床や壁、防火設備によって区画し、煙や火炎が上階へ広がるのを防ぎます。
4. 異種用途区画
店舗と住宅、事務所とホテルなど、異なる用途が一つの建物内にある場合に設けるのが異種用途区画です。
用途によって避難方法や火災時の危険性が異なるため、一定の条件では相互の延焼を防ぐ区画が求められます。
なお、異種用途区画であることだけを理由にスパンドレルを設ける必要はありません。また2020年4月施行の法改正では、一定の用途について警報設備など所定の条件を満たすことで、異種用途区画を不要とできる緩和規定も設けられています。
■防火区画の構成要素:必要な構造と開口部の措置

防火区画は、耐火性能を持った壁を設けるだけでは完成しません。床や壁の性能に加え、扉やシャッターなどの開口部にも適切な措置が必要です。
・床・壁に求められる耐火性能と1時間準耐火
面積区画などでは、1時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床や壁が求められます。
一方、高層区画などでは耐火構造が必要になるケースもあります。必要な性能は区画の種類や建物条件によって異なるため、設計図書や法令を確認して施工することが大切です。
・防火戸や特定防火設備による開口部の閉鎖
区画壁に出入口などの開口部を設ける場合には、防火設備または特定防火設備で閉鎖します。
特定防火設備には原則として1時間の遮炎性能が求められます。また、火災時の煙の拡散を防ぐ必要がある場所では、遮煙性能も重要です。
現場では「一号扉」「二号扉」という呼び方が使われることもあり、二号扉は遮煙性能を持つ防火設備を指す場合があります。常時閉鎖式は通常から閉じた状態を保ち、随時閉鎖式は普段は開放しておき、煙感知器などと連動して火災時に閉鎖します。
■防火区画の「貫通部処理」と「外壁の延焼防止」

防火区画では、配管やダクトなどが壁や床を貫通する部分の処理にも注意が必要です。壁や床そのものに必要な耐火性能があっても、貫通部が適切に処理されていなければ、火炎や煙の通り道になります。
・配管・ダクトの貫通部における耐火措置
給排水管や電線管、ケーブルなどが防火区画を貫通する場合は、管と壁や床とのすき間をモルタルなどの不燃材料で埋めるなど、区画の性能を損なわない処理が必要です。
換気・空調ダクトが防火区画を貫通する場合には、原則として所定の防火ダンパーを設置します。
とりわけ既存建物では、テナント改修や設備更新を繰り返すなかで配管やケーブルが追加されるため、過去の工事で開けた貫通部が適切に処理されているか確認が必要です。
・スパンドレル・袖壁(そでかべ)・ひさしの設置
防火区画が外壁に接する部分では、炎が外壁を回り込んで隣の区画へ燃え移ることも防がなければなりません。
対象となる区画では、接する部分を含めて幅90cm以上を準耐火構造とするのが基本です。また、外壁面から50cm以上突出した準耐火構造の袖壁やひさしなどで延焼を防ぐ方法も認められています。カーテンウォールなどの外壁では、外壁と床スラブの隙間から上階への延焼を防ぐ層間塞ぎも重要な工事です。
■防火区画の免除・緩和要件について

防火区画には、一定の条件を満たした場合の免除・緩和規定もあります。ただし、設備があるだけで一律に適用されるわけではなく、対象となる区画や用途、構造などを確認する必要があります。
・スプリンクラー等の自動消火設備による緩和
建築基準法施行令第112条では、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備などの自動式消火設備を設けた部分について、その床面積の2分の1を区画面積の算定から除外できます。
そのため、自動消火設備の設置状況によっては、同じ建物でも必要となる面積区画の範囲が変わります。
・階段室や特定用途による免除
劇場や映画館の客席、体育館、工場など、用途上大きな空間が必要で区画することが難しい部分は、一定の条件を満たせば面積区画の適用対象から除外されます。
竪穴区画についても、避難階から直上階または直下階だけに通じる階段などでは、内装を不燃材料とするなど一定の条件を満たせば、竪穴区画の規定は適用されません。
■耐火被覆工事が重要な理由と施工時の注意点

防火区画とともに重要なのが、柱や梁に必要な耐火性能です。とりわけ鉄骨造では、耐火被覆の施工状態が火災時の建物の安全性を左右します。
・鉄骨造における耐火被覆の役割
鉄骨は強度に優れた構造材料ですが、高温にさらされると強度が低下します。
そこで耐火性能が求められる柱や梁を、吹付けロックウール、巻き付け耐火被覆材、耐火ボードなどで覆い、火災時の鋼材の温度上昇を遅らせます。
必要な耐火時間や施工部位によって被覆材の種類や厚さが異なるため、認定仕様に沿った施工が求められます。認定書や設計図書の見方は、鉄骨造の耐火被覆・耐火性能の確認方法で解説しています。
・貫通部の処理漏れによるリスクと専門業者選び
テナント改修や設備更新では、新しい配管やケーブルを通すために防火区画を貫通させたり、既存の耐火被覆を一部撤去したりするケースがあります。テナントの原状回復でよくあるトラブルと耐火被覆・アスベストのリスクも、あわせて押さえておくと安心です。
耐火被覆の厚さ不足や欠損、貫通部の処理漏れなどの施工不良があれば、本来求められる防火・耐火性能を確保できません。法令や認定仕様に適合していなければ建築基準法違反と判断される可能性があり、実際に防火区画貫通部が認定仕様と異なる方法で施工され、違反となった事例も国土交通省から公表されています。火災時には炎や煙の拡大、鉄骨の強度低下によって被害が大きくなるリスクも否めません。
こうした不具合を防ぐには、耐火被覆材の種類や必要な厚さ、柱・梁や設備配管との取り合いまで理解した専門業者に施工を任せることが大切です。
株式会社實川耐工は、吹付けロックウールや巻き付け耐火被覆材など、さまざまな工法による耐火被覆工事を手掛けてきました。新築だけでなく、改修に伴う既存被覆の撤去・復旧にも対応しており、現場の状態を確認したうえで必要な施工方法を判断できます。完成後には隠れてしまう部分だからこそ、耐火被覆を専門に扱う会社へ任せることが、施工不良や処理漏れを防ぐうえで重要です。
■まとめ:耐火被覆工事のご相談は東京都の「株式会社實川耐工」へ

防火区画は、壁や床を設けるだけで成立するものではありません。開口部や配管・ダクトの貫通部まで適切に処理され、さらに柱や梁に必要な耐火性能が確保されて、初めて火災の拡大を防ぐ仕組みとして機能します。
東京都江戸川区を拠点に関東一円で耐火被覆工事を手掛ける株式会社實川耐工は、吹付けロックウールから巻き付け耐火被覆材「マキベエ」まで、現場条件に応じた幅広い工法に対応しています。新築はもちろん、テナント改修や設備更新に伴う既存被覆の撤去・復旧、原状回復にも対応可能です。
2026年5月には、日本の耐火被覆工事業者として初めて米国NFCA(National Fireproofing Contractors Association/全米耐火被覆工事業協会)に加盟。清水建設様の大型現場では、代表が職長として表彰された実績があります。また、文化放送ラジオや建設通信新聞などでも取り組みが紹介されています。
既存の耐火被覆材にアスベストが含まれている場合も、アスベスト除去から耐火被覆の再施工までワンストップで対応できます。撤去と復旧を別々の業者に依頼する必要がなく、現場の状態を確認しながら一貫して施工できる点も實川耐工の強みです。
改修や設備更新では、工事後に隠れてしまう貫通部や耐火被覆の状態まで確認し、必要な性能を確実に復旧することが大切です。防火区画や耐火被覆に関する工事で判断に迷った際は、耐火被覆を専門に扱う株式会社實川耐工へご相談ください。
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