皆さん、こんにちは。東京都江戸川区を拠点に耐火被覆工事を手がけている、株式会社實川耐工です。
弊社が施工している耐火被覆工事は、鉄骨造りの建物を火災から守るためにとても重要なものです。耐火被覆工事にはメリットとデメリットがあるため、双方の内容を施工前に理解しておくことが大切です。今回は、耐火被覆工事のメリットとデメリットについて解説します。
■火災のリスクと耐火被覆工事の重要性
総務省消防庁が発表した「令和4年(1~12月)における火災の概要」によると、全国で起きた建物火災20,185件のうち、住宅火災が11,017件(54.6%)と最も多くなっています。住宅火災のうち、マンションを含む共同住宅では3,459件の火災が発生しています。
また、概要の中に記載されている「特定複合用途」とは、複数の用途に使われており、かつ用途のひとつが特定されている建造物を指します。1階が飲食店で2階以上がオフィスビルとなっている建物や、店舗付きマンションなどが該当します。特定複合用途の建物における火災発生件数は1,896件(9.4%)であり、住宅火災とともに件数は増えているのです。
マンションやビルの構造部分は鉄骨でできており、鉄骨は熱に弱い性質を持っています。このため、鉄骨造の建物は地震に強いものの、火災が発生すると熱さにより鉄骨が柔らかくなってしまい、これが倒壊の原因となるのです。
鉄骨の耐火性を高めるためには、耐火被覆工事が必要です。近年では、耐火性能を施した鉄骨も導入されていますが、安全性を確保するため耐火被覆工事を含めた定期的なメンテナンスが求められます。
鉄筋鉄骨コンクリート造りやレンガ造りの建物は、耐火性が高いコンクリートやレンガを使っているため、耐火被覆工事は不要です。燃えやすい木造の場合、石膏ボードを使って耐火被覆工事を施工するケースもあります。
■耐火被覆工事のメリット
耐火被覆工事の施工により、建物にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、主なメリットを3つ解説します。
・建物を火災から保護できる
耐火被覆に使われる材質は、燃えにくい性質を持つセメント系が中心です。現場に合わせて工法を選択し、適切に施工します。
耐火被覆により、火の手が建物全体に広がるのを防ぐことが可能です。また、鉄骨部分に火災の熱が伝わるのを阻止し、鉄骨の変形や建物の倒壊を防げるようになります。
火災が発生した建物と隣接している建造物や構造物へ、延焼が発生するリスクも低減でき、耐火被覆は火災による被害をできるだけ抑えられるのです。
・人命と財産を保護できる
耐火被覆工事は、構造物の強度を上げ、建物の倒壊を防ぐ・もしくは遅らせることができます。このため、建物から避難する時間や鎮火作業の安全性を確保できるメリットがあります。また、火災により鉄そのものは燃えないものの、周囲で使用されている素材によっては、燃えることで有害な物質を発生する可能性もあります。耐火被覆工事により、これらの物質発生も抑えられるのです。
以上の理由により、耐火被覆工事は火災発生時に人命と財産を保護する役割を果たします。
・法規制と保険へ適合できる
建築基準法施行令第107条の改正により、建築物の階数・主要構造物ごとの耐火時間が変更されました。このうち、柱や梁については、最上階及び最上階から数えて2階以上4階以内は、耐火時間が1時間必要です。5階以上14階以内の場合は2時間・15階以上の階には3時間必要です。耐火時間ごとに被覆の厚みも決まっており、適切に施工しなくてはいけません。
建築基準法では、防火地域・準防火地域における耐火構造についても規定されています。防火地域では、延床面積が100平方メートルを超える住宅や、100m平方メートル以下の建物の3階以上は耐火建築物にしなくてはなりません。準防火地域であっても、4階建て以上または延床面積が1500平方メートルを超える建物は、耐火建築物にしなくてはならないと定められているのです。
そのほか、準耐火建築物にすべき条件も決まっており、耐火建築物・準耐火建築物の条件を満たすには、鉄骨造りの建物に耐火被覆工事が必須となっています。耐火被覆工事の施工により、これらの基準や法的要件を満たせるようになります。
また、建物にかける火災保険は、建物の素材が燃えやすいほど保険料が高くなります。耐火被覆工事によって耐火性能が最も高い構造となるため、火災保険料が削減できるのも大きなメリットです。
このように、耐火被覆工事は建物を守るメリットがとても大きいのです。
■耐火被覆工事のデメリット
多くのメリットがある耐火被覆工事ですが、やはりデメリットも知っておきたいところです。デメリットには、主に以下の2つがあります。
・費用と手間がかかる
耐火被覆工事は、建物の構造物全体へ施工する必要があるため、多額の費用がかかります。使用する素材や工法・耐火時間・施工場所などによって、費用相場は大きく変わりますが、1平方メートルあたり5,000円前後から80,000円近い金額まで、実に差が広くなっています。現場ごとにかかる詳細な費用や施工期間を知るには、事前の見積もりが必要不可欠です。
既存の構造物へ耐火被覆工事を施工するには、新築とは異なりさまざまな制約が発生します。耐火構造によって、工事の対応が必要な箇所も変わってくるため、しっかりと打ち合わせを行いましょう。
・メンテナンスと修理が必要である
耐火被覆材は、施工後の経年劣化は避けられません。特に、屋外環境に置かれた被覆材はサビ・浮き・剥離などの影響が出やすくなります。また、施工方法が適切でなかった場合に、耐火被覆材に不具合が発生すると、修理もしくは再被覆が必要となるケースもあります。
できるだけ早い段階で劣化を見つけ、耐火被覆材の効果を継続させるには、定期的なメンテナンスや修理が必要です。メンテナンスの内容として、日常的に外観目視を実施する日常点検・5年に1回外観目視と指触によって点検する精密点検・日常点検で異常を発見した際に専門技術者によって行われる臨時点検などがあります。
■まとめ
今回は、耐火被覆工事のメリットとデメリットを紹介してきました。耐火被覆工事は、多額のコストがかかるものの、建物・人命・財産を火災から守り、法規制や保険への対応もできる重要な工事です。
建築物の所有者や管理者の方にとって、耐火被覆工事は建物への投資と長期的な利益確保につながります。そして何より、建物の中で働く人々の安全を守ることができます。耐火被覆工事を検討されている所有者や管理者の方は、實川耐工までお気軽にご相談ください。
實川耐工では、耐火被覆工事完了時の仕上がりの美しさにこだわっています。目立ちにくい部分への施工だからこそ、丁寧な施工により安全と美しさを両立させています。
若手社員が多い弊社では、施工のスピードを可能な限り早くするよう心がけており、お客様の急なお困りごとにも迅速に対応可能です。現場の状況や被覆材の劣化具合に合わせた工法を瞬時に判断し、臨機応変な対応力と柔軟性を持って施工いたします。
東京都以外にも、関東一円の耐火被覆工事に対応いたします。遠方の作業にも駆けつけますので、建物の耐火性を高めたいと考えている所有者や管理者の方は、弊社までご一報ください。