皆さん、こんにちは。
東京都江戸川区を拠点に耐火被覆工事を手がけている、株式会社實川耐工です。
「オフィスを全面的にリニューアルしたい」
「中古物件を購入し、理想のデザインで店舗を一から作りたい」
このような大規模な改修を計画する際、最も有効な選択肢となるのが「スケルトン解体」です。
しかし、その一方で、「普通の解体と何が違うの?」「メリットだけでなく、デメリットやリスクも正確に知っておきたい」といった疑問や不安をお持ちの事業者様も多いのではないでしょうか。
スケルトン解体は、ただ内装を撤去するだけの単純な作業ではありません。そのメリットを最大限に活かすためには、計画段階でその特性と、目に見えない部分に潜む重大なリスクを正確に理解しておく必要があります。
この記事では、数多くの建築現場に携わってきた専門家の視点から、スケルトン解体のメリット・デメリット、や「絶対に知っておくべき2大リスク」と、失敗しないための業者選びのポイントまで、徹底的に解説します。
■内装解体とスケルトン解体の違いは?

まず、基本的な言葉の定義から確認しましょう。「内装解体」という大きな枠の中に、解体の範囲や目的によっていくつかの種類が存在します。中でも代表的なのが「スケルトン解体」と、テナント退去時などに行われる一般的な「(原状回復などの)内装解体」です。
両者の最も大きな違いは「どこまで解体するか」という点にあります。以下の表で、その違いを簡潔に比較してみましょう。
比較項目 スケルトン解体 一般的な内装解体(原状回復など)
解体範囲 構造躯体(骨格)以外すべてを撤去。コンクリート打ちっ放しの状態。 壁紙・床材・間仕切り壁など、内装の表層部分や指定された範囲のみを撤去。
主な目的 大規模リノベーション、建物の用途変更、デザインの一新。 テナント退去時の原状回復、部分的なリフォーム。
費用・工期 高く、長くなる傾向。 比較的安く、短い傾向。
つまり、スケルトン解体は「一度すべてをゼロに戻す」ための、より根本的で大掛かりな工事と言えます。
■内装解体のメリット・デメリット

比較対象として、スケルトン解体ではない、一般的な内装解体(原状回復など)のメリット・デメリットを見てみましょう。
<メリット>
・スケルトン解体と比べて、費用が安く工期も短い
解体範囲が限定的なため、人件費や廃材処分費を抑えることができ、工期も短く済みます。予算やスケジュールに制約がある場合に適しています。
・作業が比較的簡単で、天候に関係なく工事が進行する
内装のみの作業であるため、天候に左右されることなく計画通りに工事を進めやすいのが特徴です。
<デメリット>
・既存の間取りから大きく変更できない
壁の下地などを残すため、間取りを根本から変えたり、大幅なレイアウト変更を行ったりするには不向きです。
・配管や配線、共用部分の破損トラブルのリスクがある。
壁や床の内部、天井裏の状態を完全に把握できないまま作業を進めるため、既存の配管や配線を誤って傷つけてしまうリスクが伴います。
・隠れた不具合を見落とすリスクがある。
壁紙や床材で隠された躯体のひび割れ、雨漏りの痕跡、断熱材の劣化といった、建物の根本的な問題点を見過ごしてしまう可能性があります。
・ゴミ処理代が高い
解体で出た廃材は、家庭ゴミとは異なり産業廃棄物として専門の処理が必要です。そのため、分別や運搬、処分に相応のコストがかかります。
■スケルトン解体のメリット・デメリット

次に、この記事の主役である「スケルトン解体」のメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
<メリット>
・内装のデザイン、間取り、レイアウトの自由度が高い
最大のメリットは、何もないゼロの状態から、理想の空間を自由に創造できる点です。ブランドイメージを反映した独創的な店舗や、現代の働き方に合わせた機能的なオフィスなど、あらゆるニーズに対応できます。
・建物の構造や現状を詳細に確認できる。
骨組みがむき出しになるため、腐食や老朽化がないかなど、普段は見ることのできない柱や梁、床スラブといった建物の骨格部分を直接確認できるため、いわば「建物の健康診断」を行う絶好の機会となります。隠れた欠陥を早期に発見し、対処することで、建物の寿命を延ばし、資産価値を維持・向上させることができます。
・建物全体を解体するよりは費用が安くなる。
建て替えに比べれば、基礎や構造躯体を活かすため、解体費用も新築費用も大幅に抑えることが可能です。
・不具合などのトラブルや損害賠償リスクが低い
配管や配線も一度すべて撤去するため、中途半端に残した既存設備が原因で後からトラブルが発生するリスクを低減できます。
<デメリット>
・内装解体よりも費用と工期がかかる
解体範囲が広く、撤去する廃材の量も多いため、当然ながら費用は高くなり、工期も長くなります。
・補強・補修、または建て直しが必要になる場合がある。
メリットである「建物の健康診断」の結果、もし基礎部分の腐食や老朽化が判明した場合、想定外の補修・補強工事が必要となり、追加の費用や工期が発生するリスクがあります。
・内装や設備を一から揃えるため、初期費用が高くなる
照明、空調、トイレ、キッチンといった設備や内装材をすべて新しく設置する必要があるため、開業やリニューアルオープンにかかる初期投資は大きくなります。
■プロが警告!スケルトンで発覚する構造躯体の2大リスク

先ほどのデメリットで挙げた「予期せぬ補修」とは、具体的にどのようなことでしょうか。放置すると建物の資産価値や安全性を根幹から揺るがし、法的な問題にまで発展しかねない、専門家が決して見落とさない2つの重要リスクが存在します。
リスク①:鉄骨を守る「耐火被覆」の劣化・損傷
スケルトン状態になり、鉄骨の梁や柱が剥き出しになった際、その表面を覆っている綿状の吹付け材が「耐火被覆」です。これは、火災時に鉄骨が高熱で変形し、建物が倒壊するのを防ぐための、建築基準法で定められた“建物の命綱”とも言える極めて重要な部分です。
しかし、この耐火被覆が、過去の内装工事(間仕切りの設置や空調ダクトの増設など)で無断で削り取られていたり、経年で劣化・剥離しているケースが後を絶ちません。
耐火被覆が規定の厚さを満たしていない状態は明らかな法令違反です。その状態では検査済証が下りず、次のテナントへの貸し出しや建物の売却もできません。補修工事は必須となり、計画外の高額な追加費用と工期の遅延という事態を招きます。
リスク②:法令違反に直結する「アスベスト」の有無
特に築年数の古いビルで絶対に警戒すべきなのが、「アスベスト(石綿)」の問題です。かつて、その耐火・断熱性能から、耐火被覆材としてアスベストを含んだ吹付け材が広く使用されていました。
ご存知の通り、アスベストは極めて発がん性が高く、その飛散は厳しく規制されています。2022年4月からは、建物の解体・改修工事を行う際に、事業者がアスベストの有無を事前に調査し、役所へ報告することが法律で義務化されました。
もしこの事前調査を怠ったり、アスベストが発見されたにも関わらず適切な措置を取らずに工事を進めてしまうと、厳しい罰則の対象となるのは施工業者だけではありません。工事を依頼した発注者(ビルオーナーやテナント)もその責任を問われます。
万が一、解体作業中にアスベストが発見された場合、全ての工事は完全にストップ。飛散防止のための厳重な隔離養生や、専門業者による除去・封じ込め作業が必要となり、数百万円単位の追加費用と数ヶ
月単位の工期遅延につながる、プロジェクト全体を頓挫させかねない最悪のトラブルになります。
》耐火被覆工事とは? 目的や必要性、ルールを解説!
》アスベスト事前調査をしないとどうなる?違反時の罰則から実例・不要なケースまで徹底解説
■依頼時の5つの注意点と失敗しない業者選び

これらのリスクを回避し、スケルトン解体を成功させるためには、信頼できる業者をパートナーに選ぶことが不可欠です。以下の5つのポイントを必ず確認してください。
① 工事範囲の明確化
「どこまで解体し、何を残すのか」を、契約前に図面などで明確にし、必ず書面で取り交わしましょう。後の「言った・言わない」のトラブルを防ぐ基本です。
② アスベスト調査の事前確認
法律で義務化されたアスベストの事前調査を、法令に則って適切に実施してくれるかを確認しましょう。その上で、万が一アスベストや耐火被覆の損傷が見つかった際に、除去や補修までワンストップで対応できる専門性があるかは、優良業者を見極める極めて重要なポイントです。
③ 信頼できる業者の見極め
「建設業許可」や「解体工事業登録」といった許認可の有無、万が一の事故に備えた損害賠償保険への加入は必ず確認しましょう。また、複数の業者から相見積もりを取り、金額だけでなく、見積もりの内訳の詳しさや担当者の対応力を比較検討することが重要です。
④ 近隣への配慮
工事中は騒音や振動が避けられません。着工前に近隣への挨拶回りを丁寧に行い、工事中も配慮を徹底してくれる業者を選びましょう。
⑤ スケジュール管理
予期せぬ事態に備え、明け渡しやリニューアルオープンの期日から逆算し、余裕を持った工期を設定しましょう。タイトなスケジュールは、トラブル発生時のリスクを増大させます。
■まとめ

本記事では、スケルトン解体のメリット・デメリットから、計画段階で必ず知っておくべき2大リスク、そして業者選びの注意点までを解説しました。
スケルトン解体は、理想の空間を創造し、建物の資産価値を高めるための非常に有効な手段です。しかし、その成功の鍵は、デザインやレイアウトといった目に見える部分だけではありません。
目に見えない部分に潜む「耐火被覆の劣化」や「アスベストの存在」といった専門的なリスクを、いかに計画段階で正確に把握し、管理できるか。これこそが、予期せぬコストや工期の遅延を防ぎ、プロジェクトを成功に導くための最も重要なポイントです。表面的な解体費用だけでなく、建物の安全と価値を根幹から守る視点を持った、信頼できる業者を選ぶことを強くお勧めします。
■耐火被覆工事でお困りなら、株式会社實川耐工にお任せください。

この記事を通じて、スケルトン解体には、目に見える作業の裏に、専門家でなければ見抜けない重大なリスクが潜んでいることをご理解いただけたかと思います。
弊社、株式会社實川耐工は、耐火被覆工事を専門とするプロフェッショナル集団です。
スケルトン解体を計画する中で、 「自分のビルの耐火被覆は大丈夫だろうか?」 「アスベスト調査をどこに頼めばいいかわからない」 「解体業者から耐火被覆の補修が必要だと言われたが、見積もりが適正か知りたい」
このようなお悩みはございませんか? 私たちは、解体工事に伴う耐火被覆の劣化診断・補修工事はもちろん、アスベストの事前調査から除去・封じ込め工事まで、ワンストップで対応いたします。
ぜひ一度、計画段階でご相談ください。専門家の視点から、お客様の資産価値を守るための最適なご提案をいたします。
▼関連記事▼
》解体工事の前に知りたい!アスベストが使用されている建物の年代を判定する方法とは?
》アスベストの使用が禁止されたのはいつから?禁止された背景と今後の課題を徹底解説
》アスベスト調査の義務化はいつから?調査対象の工事や罰則を徹底解説!
》ロックウールとアスベストの見分け方は?それぞれの特徴やよく使用されている場所を紹介!
》マキベエの基本的な施工方法とは?活用するメリットや業者の選び方のポイントを紹介!

